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2021.08.24

世界の林業労働者が自らを語る〜われわれはいかに働き暮らすのか〜を読んで

世界の林業労働者が自らを語る〜われわれはいかに働き暮らすのか〜を読んで

こんにちは、キコリのよつつじせいごです。

「世界の林業労働者は語る」(ベルント・シュトレルケ / 著, 菊間満 / 翻訳)という本がとても良かったので今回は本の紹介です。

2011年に発売された本なので少し古い本になりますが、他の国の林業の環境のことが知りたくて買いました。

世界のキコリの中で「めっちゃ儲かります!」と言う人はいなくて、どの国でも、キコリは皆同じような環境で働いているのです。

その中で給与面を語る方を散見したので、比較してみることにしました。

世界の林業労働者の収入の話をまとめてみました

ツイートの3人だけ掘り下げてみると、

ドイツのハーベスタのオペレータ・ユルゲン=コーランさん(65)

【仕事内容】 生産現場と機会操作訓練の講師
【収入】 時給22ユーロ(日本円で、¥2,860、1日8時間=¥22,800)※長期勤続の追加手当込み
【家族構成】 妻(保育士)娘(育児中)、息子(石工)と同居
コーランさん
「家族全員に職があることは幸福であり、かなり満足しています。」

林業先進国ドイツです。収入が日本のキコリの2倍の人もいると聞いていましたが、この感じやったら平均的に高い人が多そうですね。(実際に行ってみないとわかりませんが。)

ポルトガルのコルク林業・ペデュロ=アントニオ=カサヴェリャさん(68)

【仕事内容】 コルクの皮はぎ、生産管理職人
※コルクは、コルクガシの皮をはいで、ワインのあのコルクになる
※夏場のみの生産のため、他にもブタを飼って畜産、ブドウ農家でもある
【収入】 時給10ユーロ(日本円で、¥1,300、1日8時間=¥10,400)
【家族構成】 娘と小さな孫2人と暮らしている。
カサヴェリャさん
「買い手が取りに来るまで、見張りキャンプをしています。」

年配者が夏場にキャンプして見張らなくてはならないのはかなりツラそう。それに家族は心配でしょうね。

タンザニアの林業・エゼキエル=ルクマイさん(47)

【仕事内容】 牛の力で、林道まで木を搬出
【収入】 40,000シリング/日(日本円で、¥1,880)(※タンザニアでは、コーラ500ml=¥25)
【家族構成】 妻、子供2人と暮らしている
ルクマイさん
「牛の世話で週2回牛小屋で寝泊りしている。今の職業が好きでずっと続けるつもりでいる。この仕事で家を建てることができた。」

今飼っている牛は会社の牛、最近My牛2頭を購入し、独立した集材専門の個人事業主になる予定。

タンザニアの林業では「トウーナ材」と呼ばれるセンダン、豪州のスギ系統の木が主に植林され、流通しており現場では、牛が重機の役を担うています。

正直、この本の中で一番ポジティヴだったのが彼です。

自分と同世代の彼は、牛を増やし、仕事の幅をひろげることに最善を尽くしています。キコリの形は違いますが、彼の前向きな姿勢を文章から感じることができました。

彼の存在を知れただけでも、この本を買った価値が十分にありました。

最後に、日本のキコリは?

この本にも日本の方は出てくるのですが、収入の話をしている方はいませんでしたので、2年前の従業員だった頃の私を例示します。

【仕事内容】 森林調査、植林、管理、立木伐採、重機による木材搬出
【収入】 ¥14,000/日(退職金積立等で差し引かれる)
手取り25万円くらい
【家族構成】 妻、子供3人、猫と暮らしている
よつつじ
「キコリ13年目。農林水産省大臣認定フォレストマネジャーの資格、大型免許、機械各種の免許取得させてもらいました。」

あとは、山主さんを訪ねて営業を覚えることです。1年の仕事のうち3割は自分で現場作りたい。

世界中の林業労働者たちが、今日も現場でがんばっている

世界のキコリを個人的にインタビューをされ、彼らの生い立ち〜現在、労働環境〜所得、これからの目標、こうなりたいと言う思いが、話し言葉で書かれている本です。

不満あるのは世界共通なんやけど、タンザニアのルクマイさんのように、できることに集中して希望を持っている方もおられます。

きっと彼は今日も地元の現場でがんばってはる。私も想像力を膨らませ、目の前の仕事を頑張ろうと思いました。

とても読みやすいので、日本の若いキコリの方へおすすめしたい本です。

世界の林業労働者は語る

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