こんにちは、キコリのよつつじせいごです。
マスコミ、テレビ、ネットニュース、YouTube上でも何かと話題になって
近所のおじいさんおばあさんも知っている「ウッドショック」
簡単な解説と、実際にキコリの立場で感じていることを書きます。
結論は、『ウッドショック前までが安すぎたのではないの?』です
簡単にいうと、理由は3つ
❶ロシア材の輸出禁止発表(世界第2位の木材輸出国、2022年〜禁輸開始予定)
❷コロナウィルス〜ステイホームによる米国の木材特需
❸中国の堅調な住宅需要
世界に出回る木材製品を、中国と米国が吸い込んでいます
日本に入るはずの(欧州、カナダ、豪州、ニュージーランド、南米産等)外国産材が少なくなり
出回っている木が少なくなった日本国内は、
業者さん同士取り合いになって、価格上がってる状況です。
米国はステイホーム、低金利でローン組める政策の影響でD.I.Y.や建て替え、郊外の新築住宅街の開発がすすんでいるそうです。
各社がまるで平安京つくるようなすごい勢いで、山をけずって、できた広い土地に家を建てて街をつくっていく。
中国も同じように開発が進んで、お金持ちや一般の方が家をたくさん建てている。
私たち日本人の頭では理解できひん規模の開発で街がつくられています
ウッドショックの構造と原因、詳しいことを知りたい方は他サイトをご覧ください
2020年の暮れ、12月の納め市
私たちは質のあまり良くない年輪の粗い木を出していたのですが、
↑この木が、秋の特市に出した良質材↓より高くなった
その年はスギの相場9,000円未満のものが、12,000円以上になって
売主も全員が「なんでや?」混乱状態になっていました。
年始に一度値はもどったが、1月末にまた上がり、今日まで続いている状況です
簡単にいうと、
スギは昔から価値があった太い木を、欲しい人が少なく
細い木に強い需要がある状況です。
太い(直径50cm以上)木がいらないということは、
無地無節など旧来のいいものを好んで使う伝統的な建築が、確実に減っている状況です
キコリの私が言いたいのは、『ウッドショック前までが安すぎたのではないか?』
山主さんが木を売って、植えたらマイナス、補助金がないと植えるのがむずかしい状況、仕組み。
生産者の山主さんが山の木を売って儲けれない価格って、どうなんでしょう?
一般的な約100㎡で、約4,000万円の新築木造住宅の
構造(柱や屋根、土台など)に使われている木材のみの価格っていくらか知っていますか?
100万円くらいなんですよ。安くないですか?
エアコン3台つけるより安いし、システムキッチンつけるより、お風呂つけるより安いんです
ネット上にある多くの記事は、「林業の生産性」を問われますが、
現場ではギリギリに人絞って、機械化しつづけていて
私たちは、ここ10年で1㎥あたり1,000円〜1,500円分は効率上げてますし
私の知るかぎり他社さんも同じように設備投資して、搬出効率を上げておられます。
これ以上の効率を求めるなら無人化または機械の性能向上と、、なかなか遠い話です。
昭和55年、国産材のピーク、私たちの市場では相場が今の4〜5倍
(出典:林野庁hp)
ウッドショック前の相場は9,000円、現在は1万数千円(1㎥あたり)
このまま平均2万円以上になっていくと、山主さんに多く返せて、植えて木の再生産が増えて良いのですが
そんなにうまくいくとは思っていません、いつ下がるかが、わからない不安があります。
Twitterでみたのですが、米国の木材製品の先物価格が下がりました
このラインより下いったら、ほぼウッドショック終わりだと思ふ。 pic.twitter.com/2lz2JRJtYp
— Ryo🍜 (@ryo_bando) June 19, 2021
あ、オワッタ
次は480 pic.twitter.com/3GWXq8PYPY— Ryo🍜 (@ryo_bando) June 26, 2021
この影響がどう出てくるかわからないんですが
米国の住宅むけの木材特需は落ち着いたということです。
それでも外国産材がこのまま日本に入ってこなければ、この状況つづく予感してます
米国大手木材業者が従来の日本向け製品の生産と輸出を中止したというニュースもあるし、
もうウッドショック前の状態には、もどらないのかもしれません。
私たちキコリにできることは、
「できる範囲で、市場ニーズにあわせて生産増やして、木を出していくこと」です。
キコリからみたウッドショック、まとめると
以上です。
昭和55年、私が生まれた年、
国産材のピーク、祖父たち木材業者も近所の人もたくさんいて、豊かでにぎやかだった。
「昔は良かった」とは言いたくはありません。
補助を使わず仕事できて、地元に産業があって、町に人が残っていければ最高です。
いろいろあるけど、世界はだんだん良くなっていってると信じています。
長文読んでくださり、ありがとうございました。