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2022.11.15

【キコリが語る】山であった不思議な話(1)「山の上から誰かが呼んでいる」


こんにちは、キコリのよつつじせいごです。

最近は仕事の話が多かったので、たまは趣向をかえて、実際に私や仲間に起こった山での不思議なお話をします。

キコリ歴17年で4つほどお話しがありますので、機会を見て書いていきますね。

それでは、1つ目のお話「山の上から誰かが呼んでいる」です。

山の上から、誰かが呼んでいる

5年前の秋。

紅葉がはじまりかけの快晴の日でした。

前年に入社した従業員のOさんと私で、京北の私の実家から4kmほど比較的近い山奥の現場へ入って、木を搬出していました。

現場では、伐採作業がひと段落して、前日のうちに重機で1箇所に集めておいた木を、Oさんが長さ測ってカット。

カットされた木を私が重機でトラックに積み、市場へと運んでいました。

仕事の段取りもよく、いいリズムで作業してもらえてるな。と思っていました

午後2時くらいだったと思うのです。

私がトラックで戻ると、現場でつっ立って全く動かないOさんが見えました。

山の上の方をジーッと見ていて動きません。

どうかしたのか。あきらかに様子がおかしいのです。

トラックを止めて近づいていくと、Oさんが私に気がつきました。

Oさん
あ、ちょっと、いいですか・・・。
四辻木材 四辻誠悟
Oさん、どうしたんですか?体調でも悪くなりましたか?
Oさん
誰かがね、呼ぶんですよ。この現場・・・。
四辻木材 四辻誠悟
え?どういうことですか?誰が呼ぶんですか?
Oさん
あっちの方からね(山の上の方を指差して)オイって呼ぶんですよ。
四辻木材 四辻誠悟
おかしいですね。今日はこの現場に私たち以外は、誰も来ていないはずですよ。近くに他の車はありませんし、朝来たときには水たまりの水が澄んでましたよ。
Oさん
いや(確実に)オイって誰かが呼ぶんですよ。

青い顔をしているOさん、全く顔が笑っていません。

私は少し心配になったので、トラックに乗るのをやめてしばらく一緒に作業をすることにしました。

Oさんは気を紛らわすためにも、体を動かした方が良いだろうと思い、チェンソーで木をカットする作業をしてもらいました。

ほんの10分ほどしたところで、Oさんがまた急にチェンソーを止めて

チェンソー置いて、さっき指を差してた山の上の方を見るんです。

四辻木材 四辻誠悟
どうしたんですか?
Oさん
・・・。

今度は声をかけてもOさんは背を向けたまま振り向きません。

その瞬間、思い出したことがあります。

頭をよぎった10年前の記憶

実は10年前に一度だけこの現場に来たことがありました。

その時は見積もりに来ていたのですが、Oさんが指を差す方向に確か、“洞窟が掘ってある”のを見かけたんです。

洞窟の入口付近には、ベビーカーよりも少し大きく朽ちたトロッコらしきもの転がっており、人が中腰で入れるくらいの真っ暗な穴の中に、古いトロッコの線路が続いていたような。

当時それ見た私は、山の中に一人でいるのが急に怖くなって、車のある場所まで一気に駆け降りました。

実はこのあたりは戦時中に、「マンガン」という鉱物が大量に採掘されていました。マンガンとは鉄の強度を上げる鉱物で、兵器製造に重宝されたと聞きます。

地方の方や外国からも人が連れてこられて、軍主導の強制労働が行われ、作業中には何人もの方が事故や病気に遭われたと習っています。

この話は、小学校でも習いましたし、自身も当時朝鮮半島から来られた方と、親交があった地元のベテラン土建屋さんから聞いています。

おそらくその採掘現場に何かがあるのでしょう。

目の前で幻聴を聞くOさん

四辻木材 四辻誠悟
・・・。

これを思い出して、言葉を失いました。

Oさん
あ・・・。
四辻木材 四辻誠悟
また聞こえたんですか?
Oさん
いま、呼ばれたんです。あ、ほら!聞こえませんでした?オーイって。

京都の山奥

あたりは風で木が揺れる音だけが聞こえてました。

四辻木材 四辻誠悟
え、私には全く聞こえませんよ。

本当に何も聞こえませんでした。しかし目の前ではOさんがいま幻聴を聞いています。

Oさん
えええ、ほら、オイって、ほんなら、これは僕だけが聴こえるんですか?

みるみるうちにより顔が真っ青になり、目を見開くOさん、冗談を言っているような顔ではありません。

私は答えられず、背すじがゾワっと寒くなり全く動けなくなりました。

二人でしばらく声がすると言う山の上の方を見ていました。

木々の間にヒトカゲが見えたらどうしよう。

サーッ、サーッ、、風で木がゆれる音だけが聞こえていました。

その日は少し早めに、作業を終えて現場を去ることにしました。

次の日

朝からお清めの塩をまいて、手を合わせ拝んでから現場に入りました。

その日から、Oさんも何事もなかったように元気になり調子が良く、私も調子良く仕事ができ無事現場を完了することできました。

あれからOさんの身には不思議なことは起こっていませんが、山に洞窟や穴があると、この話が頭をよぎるようです。

一体あの日はなんだったのか?は理由はいまだにわかりません。ただ、現在も洞窟は実在していて、トロッコのようなものが転がっていることは確かです。

山での不思議な体験話でした。

最後にキコリから一言だけ注意を言わせてください。

昨今アウトドアなどで山へ入る方も多いかと思います。脅かすわけではありませんが、今回の話のように、山にはあきらかに雰囲気が違う場所が実在します。

どうかそのような不思議な場所は避けるようにしてください。

普段からカンが鈍い私でも、たまに起こることがあるのですが、山に一人でいると、意味なくゾクっとしたり、急に不安になって気持ち悪くなったりすることがあるんです。

山では人間が圧倒的に不利な場所です。例え獣であっても霊的なものであったとしても、山で一人の人間ができることなんてたかだか知れています。

目の前の不思議な現象なんて理解ができませんし、しなくていいと思います。

その時はどうか、何を言われてもいい、達成感や意地なんてすぐに捨てて人里に戻ってください。

いま来た道を安全に帰りましょう。そして準備してまた出直せば良いです。山での事故にもどうか気をつけてください。

長文読んでくださりありがとうございました。

その他の「山であった不思議な話」もあります。

こちらもあわせてご覧ください。


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