こんばんは!お久しぶりです!四辻木材です!
京北はまだ雪が降って、春はもう少し先のようですね。ああ、暖かくなってほしい、ほんまに。
最近は、山や木といった林業について質問を受けることが多いので、みなさんからの質問をまとめてみました。精一杯で答えてみます。(わかっている範囲ですが)
目次
A. もし現在の状況で日本から林業がなくなったら、都市部へ大災害が起きる可能性が強まります。
山に木が生えていなかったら、雨が降ると地面が水を吸収せず、そのまま川へ流れます。その結果下流の都市部で川が氾濫することになります。
山に木が生えているから、山に降った雨は地面に吸収されて地面の中で濾過されたきれいな谷水が川に流れていきます。
また、林業がなくなって山の木が放置されると、人が植えた木々(里山、人工林)はいつかは折れて枯れたり、根が起きたりして倒れてしまいます。縄文杉や屋久杉のように何千年も立っている木は多雨多湿の場所や、周りの木が身代わりになって倒れたりして、縄文杉たちを守った。まさに環境が生み出した奇跡なんです。
自然に生えてきた木は根が張っていて強くたち続けますが、人が植えた木は根が張るのは遅く、また弱いです。木は本当に人間に似ています。
木が谷に倒れると、そこに土や石また山の上から流れてきた流木などが詰まってそこに水が溜まり『土砂ダム』ができてしまいます。
この状態から大雨が降ると上流から倒れたり折れたりした木や山の様々なものが流れてきてこの木で止まり、自然のダムを土砂で作ってしまいます。水がダムいっぱいになると今度は道に氾濫して行き集落へ、また山を削り倒木、ダム形成と連鎖して、どんどん勢いを増して、人の住むところに向かいます。この写真は倒れた木は樹齢120年生、京都市を通って大阪湾に流れ込む淀川の水源地、なんです。危ないでしょう?
『土砂ダム』が崩れると川が氾濫し、田舎は一気に飲み込まれてしまいます。そして川下の都市に規模をどんどん増して流れ込み鉄砲水、洪水などの大災害が起こる可能性が強いです。
山に人が頻繁に入ればこういう事態にもすぐ対応できます。
だから、山は、木を伐ったら使って、また植えて、循環させる、ということがほんまに大事なんです。木を切ったら自然破壊では、ありません。再生が可能な資源なんです。それを扱う林業もほんまにだいじなんです。
A. 基本的に人力で肩に担いで出して来られました。
肩はもちろん使ってはりました。担ぎ慣れてくると肩に毛が生えると聞いたことあります。
また木を地面に滑らして搬出する専用の道具、仕掛けがありました。(これはまた別の項で)
こういう逸話があります。
昔は木の価格が高ったので、山で先輩方たちと木を肩で担いで搬出してて、ものすごく重たいししんどいから落としそうになった時に先輩が『お前の腕は折れてもくっつくけど、木はもう治らん、絶対落としたらあかん』と言われて若い者は死ぬような思いをして重たい丸太を担いだと聞いています。毛も生えるやろな、と思いました。
A. はい、『北山杉』を扱っています。が、皆さんの思っておられる美しく茶室に使われている床柱のような『北山杉』ではありませんよ。
これが『北山杉』と言われる杉です。
私たちが扱っているのは建築用の木材です。
このサイズの木を市場へ持っていき、製材業者さんが買わはって、板や柱など家の材料となる角材になるための木です。
A. 木は加工されて商品になります。木材業界の中でも、その原料となる『素材』を扱う業種が『素材生産業』です。
建築業者さんや製材業者さん、木を取り扱う方にとって、木は加工して商品にする原料、すなわち『素材』ですよね。
だから、私たち四辻木材の仕事は木材業界では『素材生産業』と呼ばれています。
A. 最近では山に泊まりません。
山の林道に自動車が入るようになったので、多少遠くても、山奥でも通勤します。昔は自動車がなかったので木こり何人かのチームで山小屋を立てて仕事して泊まって、終わったら降りてくるということがあったと聞いています。
また聞いた話ですが、高度成長期の頃、区の山仕事を委託された青年団が仕事を請け負い泊まって、そこに区の未婚の女子たちが料理を作って持っていって合コンの前身のようなものが開かれていたと聞いてます。
昭和の勢いある時代、ほんま楽しかったんやろうなと思います。集落の寄り合いで、おじさん方にこの頃の話を聞くと、ほんまに楽しそうに話さはります。先輩方と会話に詰まったら、この話題に決まりですね。
A. 今は基本的に1ヘクタール2500本です。プロは一日200〜220本植えます。
A. いいえ。京北では、松茸がほとんど生えなくなりました。
昭和55年頃がピークだったと聞いています。松茸がカゴに入らへんほど取れたらしいです。現在は生えてもすぐに鹿の餌食です。鹿についてもまた別項でお話しさせていただきます。
A. 出ます。私は11年この仕事をしていますが、1回だけ生で見ました。
車の中で先輩と2人お昼を食べている時、私たちの作業に入ってない側の山から静かに、小走りで現れました。私くらいの大きさ(186センチ成年男性)が四つん這いになったくらいの大きさで、ほんまに真っ黒でした。
先に気づいたのは私で『先輩、あれ何ですの?』『おい!!あかん!!』いうてクラクション、ビーーー!!同時に恐ろしい速さで山の中へ走って逃げて行きました。私たちは2人とも本当に気持ちが落ち込み、その日お昼からの作業を中止した覚えがあります。
山に人間がいるということは、『逆動物園状態』であるというのを思い知らされました。
A. いいえ。現在はチェーンソーで木を伐ります。
理由は、与作の時代より木の値段が下がって、人件費が上がっているからです。トントントンと斧で伐っていては作業が遅くて採算が合わなくなってきているからです。
また私の好きな本。名著『神去なあなあ日常』では斧でスイスイと伐っていく描写がありましたが、あれは現実的ではないなと思いました。でも小説も映画も、これからの人にとって山と田舎と林業の最高の入り口になってくれたはる作品やと思いました。(個人的な意見ですが)
A. 一般的に10年で一人前と言われています。
私は11年目ですが、まだまだできてないことがたくさんあり、日々勉強です。
↑林業は深すぎて、全てお答えできるほど知識があるわけではないので、これからも先輩方に教えていただいたり、勉強をしていきます。
今回はみなさんからご質問いただいたことを、クイズの回答者のような気持ちで、お答えさせていただきました。初心忘れるべからず。
いかがでしたでしょうか?一つだけでもみなさんの中に入ってくれたらほんとうに嬉しいです。
この他にもこれまでご質問いただいたことをまとめていますので、林業のことで気になる方は、こちらの“よくあるご質問”をご覧ください。
またみなさんのどんな細かい疑問でも、私のプライベートに踏み込んでくださっても・・・構いませんし、FaceBookのページやったらみんな見るし書けないていうことも、お答えしますので、ほんまにお気軽にお問い合わせフォームからご質問くださいませ!お待ちしてます!