こんにちは、キコリのよつつじせいごです。
いよいよ暮れが迫ってきましたね。
現在、私たちは山から木を搬出する作業と、来春の植林の準備に追われております。
ありがたいことに、以前に林業の求人募集を行ったところ17件のお問い合わせをいただき、人手不足のこの業界で、こんなにもお問い合わせいただけて、ほんまに嬉しい反面、コロナをきっかけにお仕事をあらためて考えなおす方は非常に多いと実感しました。
(※現在は定員満たし、求人募集を一旦ストップさせてもらっています。)
そこで今回は、せっかくの機会ですので、“真剣に林業の仕事に取り組みたい、キコリとして挑戦してみたい”と考えておられる方に読んで欲しい記事を書きました。
私はこの林業の世界で16年間働いてます。まだまだ短い期間ですが、数え切れないほど大〜小の危険な失敗を繰り返してきました。
手術〜入院〜自宅療養したりして、キコリの先輩方が、何度も辛抱強く声をかけてくださり立ち直ってきました。
結論を言ってしまうと、キコリの仕事は甘くはありません。
真剣に考えておられるあなたに、キコリになる際の良い部分だけではなく、キツいことも込みでお伝えしておきたいと思います。
このようなツイートをしました。
自然の中で働きたい、あるいは
林業に興味がある人へ林業は…
危険=がんばってるではない
自然の中で人間同士でチームで仕事
街から降りてくる姿勢は続かない
木は技術試しするためのものでない
木は先祖が家の子孫に残された商品
木をなめたら木に56される
木をきる時は木に勝つ気持ち— 令和のキコリ|よつつじせいご (@4224jp) October 13, 2021
では、これらについて1つずつ解説していきます。
私の偏見も多少あるかも知れませんが、多くの現役のキコリさんたちはうなずいてくれると思います。
「自然の中ではたらきたい!」と来られる未経験の方にあるあるの話なのですが、キコリとしてイチかバチかの判断で、“危険な作業している=がんばっている”と、とらえておられることがあります。
自分でケガをするなら、仕方がなかったと納得ができますが、林業の現場では、仲間を巻き込んでケガさせてしまう可能性があります。
もちろんあなたにも仲間にも家族がおられますから、わかりますよね・・・。
自分と仲間の周囲の危険な可能性をつぶしていき、確実に安全に作業をするのがプロのキコリです。
もしあなたが「いまの職場の人間関係がしんどいから離れたい。」という思いで、林業の世界へ来られるのならば、オススメはできません。
キコリの仕事は、常にチームでの仕事です。
搬出経費を最大限コストカットするため、どの機械でどう進めるか会議をしますし、現場の天候は毎日変化があり、常にチームで話し合いで決めて進めます。
キコリの世界でも人間関係は同じように存在しますし、向き合いっていかなければ仕事になりません。
「チームでどうやって山から木を搬出しているのかは」コチラの記事で紹介してます。
上項にも通じることあるのですが、街の仕事を何らかの事情で辞められて、「街の仕事よりもシンプルやから、単純に力仕事やろうから」とキコリに「降りる」気持ちは態度に現れます。
現場ではチームで仕事をするので、仲間に影響が出てしまいチームが危険な目にあってしまいます。
キコリは体を使いながら物理や力学的な感覚も使いますし、PC作業もしますし、計画もたてます。
単純な力仕事ではなく頭を使う仕事です。
「力仕事」という単語をおもわず使ってしまった方はコチラの記事へどうぞ
これは林業を学んでおられる学生さんによくある話ですが、木をまるでボウリングのピンと同じように思われていて、技術を見せてドヤ顔をしてしまう方を散見します。
私たちは先人が植えられた木を、手入れされて、手入れされて、手入れされて60年を越えて育ててこられたものを扱って、お仕事させてもらっています。
“先人が繋いでくださった山の木で、お仕事させてもらっている”この姿勢を持たないと、確実に大ケガいや命取りになります。
古臭い表現でイヤかもですが、常に山と木に謙虚さもつこと大事です。思い当たる方はコチラの記事をどうぞ。そしていますぐ気持ちを改めてください。
木は現在の若い人が豊かになるため使うものであると思いますが、大前提として、“家の祖先が子孫を経済的に助けるために植えられた商品であり”、キコリの日々の生活費のために植えられたものではありません。
あくまでも「山主さんの大事な山の木でお仕事をさせてもらっている」この謙虚さを持って現場に入ることが大切です。
最初は緊張していても、人間は慣れてくるもの。
人は慣れてくると、細い木やからと中途半端な態度で仕事をしてまう場面が、どうしても出てきます。
林業の事故事例は50代〜60代のベテランの方に多い傾向があります。
“慣れが事故を誘発している”ということです。
だからと言って、自分は若いから大丈夫!ではありません。
木が人に危害与えるときはほんまに容赦がなくて、なんぼ「痛い!!!」と叫んでも、その硬さ、勢いを緩めてはくれません。
「次は自分も危ないかも」と、危機意識を常に持っておくこと大事です。
事故が起きないように私たちは毎現場、安全を祈願する山入りの儀式を行っています。自分たちの身は自分たちで守らなければなりません。
いざ木を伐るという時は、謙虚になりすぎて木に圧倒されていては仕事になりません。
人間は自然の力には勝てませんが、木を伐る時だけは、木に打ち勝つ気持ちで伐りましょう。
木を伐る=自分より長く生きている木との勝負=木を次の余生に送り出す仕事。
自分の今までの経験と技術を込めて一本ずつ向き合って仕事しましょう。
その時のあなたの姿は誰が何と言おうと、本当にカッコいいはずです。
「自然の中で働きたい!」と言う気持ちは、本当に素晴らしいことで共感します。
ただ最初から自分の強い思い、こうあるべきのような価値観を仕事には押し付けてはいけません。
キコリの世界に入る以上は、まずその世界の先輩に言われたことを素直に聞いてください。
こんなことを言うのも、理由は、“長く一緒に働きたいから”なんです。
一緒に山を次の世代まで繋いで、次の山主さんに喜んでもらいたいんです。
一緒に仕事ができた上で「自然の中で働くことは、最高〜!」と言ってほしいんです。
興味を持ってお越しくださるのは、本当に嬉しいことなので、これからも末長くお付き合いしていきたいので、今回は心を鬼にしてキツめのことも書かせていただきました。
若干、説教くさくなってしまい&話が長くなってしまい申し訳ないです。
キャンプや登山を通じて、林業に興味を持ってくれた、これからキコリになりたいあなたの参考になれたら嬉しいです。
共に山で働きましょう!